作詞:不詳
作曲:不詳
発表:1912年(明治45年)3月
初出:『尋常小学唱歌 第三学年用』
「取入れ」は、日本の農村における稲作の一年を描いた歌です。
一番では、春に田畑を耕し、鋤(すき)で土をならし、夏には田植えや田の草取りを行います。そして、農家の人々が「骨身惜しまぬ」働きを続けた結果、秋には稲が実り、「豊年じゃ 満作じゃ」と喜ぶ様子が歌われます。
二番では、秋の日和のもとで親子兄弟が一緒になって稲を刈り、束ね、干し、脱穀する収穫作業が描かれます。三番では、収穫した米が俵として積み上げられ、豊かな実りを喜ぶ農村の風景で締めくくられます。
明治から大正へ移り変わる時代の日本では、農業は人々の生活を支える重要な産業でした。「取入れ」は、当時の子どもたちに農作業の様子や勤労の大切さ、豊作を喜ぶ気持ちを伝える教材として歌われた唱歌といえるでしょう。
現在ではあまり歌われる機会のない作品ですが、日本の農村風景と稲作文化を歌の中に残した、明治期の文部省唱歌の一曲として興味深い作品です。
取入れ
取入れ 文部省唱歌
1
春のたがやし 鋤(すき)ならし
夏の植附 田草取
骨身惜しまぬ 働に
穂に穂がさいた 稲の出来
豊年じゃ 満作じゃ
2
日和つづきの 昨日今日
揃うた親子 兄弟(あにおとと)
刈って束ねる 干して扱(こ)く
見る間に積る 籾(もみ)の山
豊年じゃ 満作じゃ
3
畦の小路の 一休
話の種は 俵数(たわらかず)
やがてめでたく 積上げる
取入れ時の 楽しさよ
豊年じゃ 満作じゃ
鋤(すき)=農具の一種で、鍬(くわ)のように土を耕す道具。
田草取=田の中で、稲(苗)の間にある草を取ること。
籾(もみ)=穂から離したばかりのイネの果実で籾殻に包まれているもの。
畦(あぜ)=田んぼの間に土を盛り上げてつくった小さな堤のことで、水をためたり通路とするためのもの。

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