作曲:中山晋平(なかやま しんぺい)
発表:1929年(昭和4年)
「霜夜の鼬」は、童謡作家・野口雨情が作詞し、作曲家・中山晋平が曲をつけた童謡です。1929年(昭和4年)の作品として知られています。後に1930年刊行の『童謡小曲 第17集』にも収められました。
歌の舞台は、霜の降りた寒い夜の篠竹のやぶです。そこで「鼬(いたち)」が小豆をとぎ、赤いご飯を炊いているという、なんとも不思議でユーモラスな情景が描かれています。歌詞には「ザクリ、ザツクリ」という繰り返しの音が登場し、霜夜の静けさの中に聞こえてくる小豆をとぐ音を印象的に表現しています。
この作品は、野口雨情らしい民話的・幻想的な世界を持った童謡です。実際、雨情の作品には「鼬の小豆磨ぎ」という題名でも伝えられている作品があり、青空書院に掲載された雨情の詩にも、ほぼ同じ内容が確認できます。
「小豆とぎ」は、夜の水辺などで小豆を洗うような音を立てるという民間伝承・妖怪として知られ、地域によってはその正体を鼬とする伝承もあります。こうした昔話や民間伝承を思わせる題材を、雨情は童謡の中に取り入れました。
また、野口雨情と中山晋平は、「雨降りお月さん」「黄金虫」など、数多くの童謡を生み出した名コンビとして知られています。「霜夜の鼬」も、二人が作り上げた独特の童謡世界の一つといえるでしょう。
静かな冬の夜、篠やぶに降り積もる霜の音と、鼬が小豆をとぐという幻想的な光景。素朴な言葉と「ザクリ、ザツクリ」という音の繰り返しによって、どこか昔話のような、不思議で愛らしい世界を描いた作品です。
霜夜の鼬(イタチ)
霜夜の鼬 作詞:野口 雨情/作曲:中山 晋平
霜夜のしのやぶ 霜でサーラサラ
ザクリ ザックリ ザックリショ
鼬(いたち)が小豆を といだとさ
寒いぞ寒いぞ 霜夜のしのやぶ
ザクリ ザックリ ザックリショ
鼬がおまんま たくだとさ
小豆をとぎとぎ ザクリ ザックリ ザックリショ
おまんまたきたき ザックリ ザックリショ
霜夜のしのやぶ ザックリ ザックリショ
赤のおまんま 小豆のおまんま
鼬が小豆を といだとさ
(霜夜とは空が晴れて霜の降りる寒い夜のこと)

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