四季の雨(文部省唱歌)

童謡・唱歌

t f B! P L

「四季の雨」は、1914年(大正3年)に文部省編『尋常小学唱歌 第六学年用』に掲載された文部省唱歌です。資料によって発行日の表記は異なりますが、同年6月刊行の唱歌集に収録されています。作詞者・作曲者は不詳とされています。

この歌の大きな特徴は、春・夏・秋・冬、それぞれの季節に降る雨の様子を、一つずつ異なる情景として描いていることです。単に「雨」を歌うのではなく、季節によって変化する雨の表情を繊細な言葉で表現しています。

一番の春の雨は、「降るとも見えじ」と歌われるほど細やかで静かな雨です。水面にできる波紋によって、初めて雨が降っていることに気づくような、春特有のやわらかな雨が描かれています。

二番の夏の雨は、春とは対照的に、突然降ってきて、またたく間に過ぎていきます。物干し竿に残された白露を、夏の雨の「名残」として表現しているところが印象的です。

三番の秋の雨は、木の葉や木の実を野や山に色とりどりに染めていきます。雨そのものだけでなく、雨によって美しく変化する秋の自然に目を向けています。

そして四番の冬の雨では、窓辺の小笹が「さやさや」と音を立てる夜の情景が描かれます。静かで冷たい冬の雨と、夜更けの寂しさが伝わる、落ち着いた一節です。

「四季の雨」は、身近な自然現象である雨を題材にしながら、季節ごとの音、光、空気、そして人の感じる心情まで描き分けた作品です。特に「降るとも見えじ」「俄かに過ぐる」「をりをりそそぐ」「聞くだに寒き」という冒頭の表現には、それぞれの季節の雨の特徴が凝縮されています。

四季の雨

四季の雨   作詞・作曲者:不詳

1 
降るとも見えじ 春の雨
水に輪をかく 波なくば
けぶるとばかり 思わせて
降るとも見えじ 春の雨

2 
俄かに過ぐる 夏の雨
物干し竿に 白露を
名残りとしばし 走らせて
俄かに過ぐる 夏の雨

3 
おりおりそそぐ 秋の雨
木の葉木の実を 野に山に
色さまざまに 染めなして
おりおりそそぐ 秋の雨

4 
聞くだに寒き 冬の雨
窓の小笹に さやさやと
更行く夜半を おとずれて
聞くだに寒き 冬の雨

QooQ