「ゴンドラの唄」は、吉井勇作詞・中山晋平作曲による、大正時代を代表する流行歌です。1915年(大正4年)に発表されました。吉井勇の詞は同年4月1日発行の雑誌『新日本』に掲載され、その後、4月下旬に芸術座の公演『その前夜』で、女優・松井須磨子によって劇中歌として歌われました。
「いのち短し、恋せよ乙女」という印象的な歌い出しで知られるこの曲は、若さや恋の情熱、そして人生のはかなさを歌った作品です。限りある青春の時間を大切にし、愛する人と心を通わせようと呼びかける歌詞には、どこか切なさと美しさが漂っています。
作詞者の吉井勇は、森鷗外が翻訳したアンデルセンの小説『即興詩人』に描かれたヴェネツィアの情景などから着想を得て、「ゴンドラの唄」を作詞したとされています。水の都ヴェネツィアを行き交うゴンドラのイメージと、恋や人生のはかなさが重なり、異国情緒を感じさせる作品となっています。
作曲を担当した中山晋平は、「カチューシャの唄」などでも知られる作曲家です。「ゴンドラの唄」では、ゆったりとした旋律によって、ゴンドラが水面を静かに進んでいくような情緒が感じられます。中山晋平の作品を紹介する長野県中野市の資料でも、1915年の代表作として紹介されています。
この曲が後世に再び大きな注目を集めるきっかけとなったのが、1952年(昭和27年)の黒澤明監督の映画『生きる』です。映画の中で主人公が「ゴンドラの唄」を歌う場面は非常に印象的で、人生の残された時間をどう生きるかという映画のテーマとも深く結びついています。
「ゴンドラの唄」は、単なる恋愛歌ではありません。「人生は短いからこそ、今を大切に生きよう」というメッセージを含んだ歌として、時代を越えて人々の心に残ってきました。大正ロマンを感じさせる美しい旋律と、吉井勇の詩情豊かな歌詞が一体となった、日本の流行歌史に残る名曲です。
森繁久彌、小林旭、藤圭子、ちあきなおみ、美空ひばり など多くの有名歌手が歌っています。
ゴンドラの唄
ゴンドラの唄 作詞: 吉井 勇/作曲: 中山晋平
1
いのち短し 恋せよ少女
朱き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日の ないものを
2
いのち短し 恋せよ少女
いざ手を取りて 彼の舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰も 来ぬものを
3
いのち短し 恋せよ少女
波に漂い 波の様に
君が柔手を 我が肩に
ここには人目 無いものを
4
いのち短し 恋せよ少女
黒髪の色 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを

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