「夏は来ぬ」は、明治29年(1896年)に発表された日本の代表的な唱歌の一つです。作詞は佐佐木信綱、作曲は小山作之助によるもので、初夏の訪れを告げる自然や風景が、情緒豊かに歌われています。
歌詞には、卯の花、ほととぎす、さみだれ、水鶏(くいな)など、初夏を象徴する日本の自然や季節の風物が登場します。特に「卯の花の匂う垣根に」という冒頭は、白く咲く卯の花とその香りによって、夏の訪れを鮮やかに感じさせます。
曲は明るく爽やかな旋律を持ちながら、どこか落ち着いた日本的な情緒をたたえています。四季の移ろいを身近な自然の姿から感じ取る、日本人の繊細な季節感がよく表れた作品です。
現在でも、初夏の季節を代表する唱歌として親しまれており、昔の日本の風景や自然を思い起こさせる美しい一曲です。
1979年にNHK「みんなのうた」で放送され、2007年には日本の歌百選に選出されています。昭和の後期でしょうか、この曲は石鹸のコマーシャルにも使われていましたね、カネボウ絹石鹸。「来ぬ」と「絹」のゴロ合わせでしょうがこのメロディーがぴったりでした。
夏は来ぬ
うた
演奏
夏は来ぬ 作詞:佐佐木 信綱/作曲:小山 作之助
1
卯の花の 匂う垣根に
時鳥 早も来鳴きて
忍音もらす 夏は来ぬ
2
五月雨の そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ
3
橘の 薫る軒端の
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌むる 夏は来ぬ
4
楝ちる 川辺の宿の
門遠く 水鶏声して
夕月すずしき 夏は来ぬ
5
五月闇 蛍飛びかい
水鶏鳴き 卯の花咲きて
早苗植えわたす 夏は来ぬ
①卯の花⇒ウツギの花
②早乙女⇒田植えをする女性のこと
③忍び音⇒小声、ひそひそ声のこと。陰暦四月頃に鳴くホトトギスの鳴き声のことで、その季節の初めての鳴き声をいう
④裳裾(もすそ)⇒着物(衣服)のすそをいう。
⑤軒端(のきば)⇒軒の端、軒の先端(軒とは、屋根が建物の壁面より外に出ている部分)
⑥おこたり諌むる⇒中国のことわざ、蛍雪の功を表している。(家が貧しくて油を買えなかったので、夏は蛍の光で、冬は雪あかりで書を読んで勉強したということによる)
⑦楝(おうち)⇒センダンという木(花)の古い呼び名です。
⑧水鶏(クイナ)⇒水辺に住む、くいな科の渡り鳥
⑨五月闇(さつきやみ)⇒陰暦5月(現在の5月下旬から7月中旬ころ)の梅雨どきの夜の暗さ、暗やみのこと。
⑩早苗(さなえ)⇒苗代から田へ植え替えるころの稲の苗のこと。
この歌詞の日本語は柔らかくて奥深い響きがいいですね、しかし調べてみないとわからない言葉が多いです。

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