作詞:島村抱月・楠山正雄
作曲:中山晋平
発表:1918年(大正7年)

「森の娘」は、1918年(大正7年)に上演されたドイツの劇作家ゲルハルト・ハウプトマンの戯曲『沈鐘』の劇中歌として生まれた作品です。作詞は、演劇界で活躍した島村抱月と、児童文学者・翻訳家として知られる楠山正雄、作曲は「カチューシャの唄」や「ゴンドラの唄」などで知られる中山晋平が担当しました。

劇中では、森の中で育った娘の孤独や、父母を知らない寂しさが歌われます。「どこから私は来たのだろう、いつまたどこへ帰るのだろう」と、自らの境遇を問いかける歌詞には、故郷や家族を求める切ない心情が込められています。森の小鳥や花と暮らす姿を描きながら、その明るさの奥には深い孤独が感じられるのが特徴です。

『沈鐘』の上演では、女優の松井須磨子がこの歌を歌いました。「森の娘」は、当時盛んになっていた新劇の舞台から生まれた劇中歌の一つであり、明治から大正へと移り変わる日本の音楽文化の中で、演劇と流行歌が結びついていく時代を象徴する作品ともいえます。

森の娘


森 の 娘   
作詞:島村 抱月・楠山 正雄
作曲:中山 晋平

1   
どこから私ゃ 来たのやら
何時(いつ)またどこへ 帰るやら
咲いてはしぼむ 花じゃやら
群れてはあそぶ 小鳥やら

2   
小鳥が森に さえずれば
母さん知らぬ 恋しさよ
花咲く春も すぎゆけば
父さんあわぬ 懐かしさ

3   
二親知らぬ 家もなき
私は森の 娘にて
黄金の髪をすきながら
小鳥や花と 暮らそもの

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