1918年(大正7年)9月、芸術座の第10回公演でも演じられた戯曲「沈鐘」劇中歌で、森の姫(松井須磨子:新劇女優、歌手)が、序幕の春の泉のほとりで歌います。

森の娘


森 の 娘   
作詞:島村 抱月・楠山 正雄
作曲:中山 晋平

1   
どこから私ゃ 来たのやら
何時(いつ)またどこへ 帰るやら
咲いてはしぼむ 花じゃやら
群れてはあそぶ 小鳥やら

2   
小鳥が森に さえずれば
母さん知らぬ 恋しさよ
花咲く春も すぎゆけば
父さんあわぬ 懐かしさ

3   
二親知らぬ 家もなき
私は森の 娘にて
黄金の髪をすきながら
小鳥や花と 暮らそもの

島村抱月はこの2ヶ月後に、世界的に大流行していたスペイン風邪にかかり急死した。愛人関係にあった松井須磨子(本名・小林 正子)は、その3ヶ月後に抱月の墓へ一緒に埋葬して欲しいとの遺書を残して自殺する。

しかし抱月の妻に拒否され、長野市の生家の裏山にある小林家の墓所に埋葬された。

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