作詞:北原白秋(1885~1942)
作曲:藤井清水(1889~1944)
資料によって作曲年の表記に違いがありますが、藤井清水の作品一覧では1921年(大正10年)の作品として掲載されています。
「祭物日に」は、詩人・北原白秋の詩に、作曲家・藤井清水が曲をつけた歌曲です。1921年(大正10年)に発表された作品とされ、白秋の詩情と藤井清水の日本的な旋律感覚が結びついた歌曲として知られています。
題名の「祭物日」は、祭りの日を意味する言葉です。歌詞では、祭りの日に外へ出て草を干していると、ふと昔のことが思い出され、干した枯草を手にかき寄せながら、かつての「あの人」を懐かしく思う心情が描かれています。華やかな祭りそのものよりも、祭りをきっかけとしてよみがえる遠い記憶や、淡い恋情が中心となっているところに、この作品の大きな魅力があります。
北原白秋は、自然や季節の風物を巧みに取り入れながら、人の心の微妙な動きを表現した詩人です。「祭物日に」でも、祭り、草、枯草といった身近な情景を通して、過ぎ去った時間への郷愁を静かに描いています。
作曲した藤井清水は、日本の民謡や地方の歌にも深い関心を持ち、日本的な旋律を生かした歌曲を数多く残しました。「祭物日に」も、白秋の言葉が持つ素朴で哀感のある情緒を大切にした作品です。北原白秋と藤井清水の組み合わせによって、祭りのにぎわいの背後にある、ひそやかな思い出と懐かしさが感じられる歌曲となっています。
なお、1939年(昭和14年)には藤原義江の歌唱による録音も残されており、昭和期にも歌い継がれていたことが確認できます。
祭物日に
祭物日に 作詞:北原白秋/作曲:藤井清水
祭物日に 出て草干せば
思い出さるる あの頃が
干した枯草 手にかきよせて
思い出すぞえ あの人を
物日=祝い事や祭りなどが行われる日

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