牧場の朝

童謡・唱歌

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作詞:杉村楚人冠(1872~1945)
作曲:船橋栄吉(1889~1932)

作詞者は当初「不詳」とされていましたが、後に杉村楚人冠の紀行文などから、彼が作詞者であることが明らかになりました。

歌の舞台として知られているのが、福島県鏡石町にある岩瀬牧場です。広々とした牧場に朝霧が立ちこめ、ポプラ並木の向こうから鐘の音が響き、羊の鈴や牧童の笛が聞こえてくる――そんな清々しい朝の情景が、三つの節を通して描かれています。岩瀬牧場は現在も「牧場の朝」ゆかりの地として知られています。

歌詞では「かんかん」「りんりん」「ぴいぴい」と、鐘、羊の鈴、牧童の笛の音を印象的に表現しています。霧に包まれた静かな牧場が、朝日の昇りとともに少しずつ目覚めていく様子が目に浮かびます。

なお、作詞者の杉村楚人冠は新聞記者・文筆家としても知られ、「牧場の朝」の作詞者は長い間不明でした。1973年(昭和48年)に関連する資料が発見されたことなどをきっかけに、杉村楚人冠が作詞者であることが定説となりました。

牧場の雄大な自然と、朝の爽やかな空気を音楽で表現した「牧場の朝」は、日本の唱歌を代表する作品の一つとして、現在も親しまれています。

牧場の朝      


うた
                           

演奏

牧場の朝  作詞:不詳/作曲:船橋 栄吉

1 
ただ一面に 立ちこめた
牧場の朝の 霧の海
ポプラ並木の うっすりと
黒い底から 勇ましく
鐘がなるなる カンカンと

2 
もう起きだした 小舎小舎の
あたりに高い 人の声
霧につつまれ あちこちに
動くひつじの いくむれの
鈴がなるなる リンリンと

3 
いまさしのぼる 日の影に
夢からさめた 森や山
赤い光に 染められた
遠い野末に 牧童の
笛がなるなる ピイピイと

モデルとなった「岩瀬牧場」は、1907年(明治40年)に13頭の乳牛(オランダホルスタイン)と農機具をオランダから導入し、福島県岩瀬郡鏡石町で日本初となる西欧式牧場を始めました。「牧場の朝」は鏡石町の町歌となっています。

明治の初めに2,677 ヘクタールもの高大な原野を宮内省直営の「順宣牧場」として開懇したのが始まりで、このときにオランダから友好の証として贈られたのが「青銅の鐘」(町指定文化財)です。

現在ほど時計が普及していないかった時代、牧場で朝、昼、晩、そして作業の始まりと終わりの時刻を告げることになった鐘は、唱歌「牧場の朝」の中でも歌われ、時代を超えて子どもから大人まで多くの人々に親しまれてきました。

現在はミニ動物園や植物園、体験農場などを併設した私営の観光牧場となり、休日は多くの家族連れで賑わっているそうです。

参考資料:福島県岩瀬郡鏡石町 岩瀬牧場の歴史

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