1932年(昭和7年)の「新訂尋常小学唱歌(四)」に初掲載されました。作詞は不詳となっていますが、定説では「杉村 楚人冠」のようです。
この歌のモデルとなったのは、1907年(明治40年)に日本初となる13頭の乳牛(オランダホルスタイン)と農機具をオランダから導入し、西欧式牧場を始めた「岩瀬牧場」(福島県岩瀬郡鏡石町)です。「牧場の朝」は鏡石町の町歌となっています。
牧場の朝
うた
演奏
牧場の朝 作詞:不詳/作曲:船橋 栄吉
1
ただ一面に 立ちこめた
牧場の朝の 霧の海
ポプラ並木の うっすりと
黒い底から 勇ましく
鐘がなるなる カンカンと
2
もう起きだした 小舎小舎の
あたりに高い 人の声
霧につつまれ あちこちに
動くひつじの いくむれの
鈴がなるなる リンリンと
3
いまさしのぼる 日の影に
夢からさめた 森や山
赤い光に 染められた
遠い野末に 牧童の
笛がなるなる ピイピイと
この「岩瀬牧場」は日本の古い西欧式牧場で、明治の初めに2,677 ヘクタールもの高大な原野を宮内省直営の「順宣牧場」として開懇したのが始まりで、このときにオランダから友好の証として贈られたのが「青銅の鐘」(町指定文化財)です。
現在ほど時計が普及していないかった時代、牧場で朝、昼、晩、そして作業の始まりと終わりの時刻を告げることになった鐘は、唱歌「牧場の朝」の中でも歌われ、時代を超えて子どもから大人まで多くの人々に親しまれてきました。
現在はミニ動物園や植物園、体験農場などを併設した私営の観光牧場となり、休日は多くの家族連れで賑わっているそうです。
参考資料:福島県岩瀬郡鏡石町 岩瀬牧場の歴史
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