蛍(ほたる)(文部省唱歌)

童謡・唱歌

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作詞:井上 赳(いのうえ・たけし)
作曲:下総 皖一(しもおさ・かんいち)
発表:1932年(昭和7年)

この歌は、初夏の川辺に舞う蛍の美しい情景を描いた文部省唱歌です。1932年(昭和7年)に『新訂尋常小学唱歌』第三学年用に掲載されました。

歌の冒頭では、川辺の柳が夕闇に包まれ、川の「目高(めだか)」が静かに眠るころ、蛍がほのかな光をともす様子が描かれています。さらに川風や柳の揺れ、山にかかる三日月、そして暗い川原を群れ飛ぶ蛍へと、夜の情景が次第に広がっていきます。

特に「ほ、ほ、蛍が灯をともす」という表現は、蛍の光を小さな灯火にたとえたもので、暗闇の中に点々と浮かぶ蛍の幻想的な美しさを印象的に表しています。

歌詞に登場する「楊(やなぎ)」や「目高(めだか)」など、昔の日本の川辺の風景を思わせる言葉も、この歌の大きな魅力です。単に蛍を描写するだけでなく、川、柳、風、月、蛍が一体となった日本の初夏の夜を情緒豊かに表現した唱歌といえるでしょう。

ここで使われている「楊(やなぎ)」とは「ネコヤナギ」「カワヤナギ」などのしなだれないヤナギのことで、一般によく使われる「柳」は、「シダレヤナギ」のことをいいます。

3番の「川原のおも」とは、川原の表面、言うなれば「川全体が」ということで良いと思います。

蛍(文部省唱歌)


蛍(ほたる) 作詞:井上 赳/作曲:下総 皖一

1   
蛍のやどは 川ばた楊
楊おぼろに 夕やみ寄せて
川の目高が 夢見る頃は
ほ ほ ほたるが灯をともす

2   
川風そよぐ 楊もそよぐ
そよぐ楊に 蛍がゆれて
山の三日月 隠れる頃は
ほ ほ ほたるが飛んで出る

3   
川原のおもは 五月の闇夜 
かなたこなたに 友よび集い
むれて蛍の 大まり小まり
ほ ほ ほたるが飛んで行く

私が子供の頃を過ごしたのは、田舎の小さな村でした、蛍は時期になると家の庭やすぐ前の田んぼにたくさん飛んでいました。今ではほとんど廃村に近いような状態になっています。そんな田舎でも最近は蛍が少なくなり、あまり見られなくなったということです。

人間が多くなって蛍の棲める環境が少なくなっても、また逆に過疎になって人が住まなくなり、人の手が入らなくなった環境(本来の自然)でも蛍には棲みにくいようです。適当に人の手の入った「里山(さとやま)」のような環境が一番なのでしょう。

今は各地で蛍を増やそうという取り組みが行われているようです、皆さんも機会があったら是非に大自然の中での蛍を見てください。イルミネーションとは違った美しさに感動しますよ。

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