「古戦場の秋」は、作曲「成田為三」作曲:作詞「葛原しげる」の歌曲として1918年(大正7年)に発表された作品です。
その後1934年(昭和9年)には同じ曲に「妹尾幸陽」が歌詞を付けた歌が、藤山一郎の歌唱でレコード発売されています。ここではこの妹尾幸陽の歌詞を用いていますが、「葛原しげる」の歌詞も末尾に掲載しておきます。
「妹尾幸陽」版について
歌い出しは「夕日に赤き 雲を見れば」。夕焼けに染まる雲を、かつて焼け落ちた櫓の炎に重ね、遠い昔の戦場に思いをはせる、哀愁の漂う作品です。
歌詞には、「修羅の矢叫び 今は昔」「語るは風の音ぞ」といった表現が登場し、かつて激しい戦いが繰り広げられた場所も、今では風だけが静かに吹き過ぎる場所となったことが描かれています。さらに、細い三日月や武士の墓、長い年月を経た古戦場の姿が描かれ、秋の夕暮れの静けさと、過ぎ去った歴史への哀惜が印象的に表現されています。
作曲した成田為三は、「浜辺の歌」などで知られる日本の作曲家です。「古戦場の秋」では、歴史を振り返る歌詞に寄り添うような歌曲として、落ち着いた情感を感じさせます。
古戦場の秋
古戦場の秋 作詞:妹尾幸陽 作曲:成田為三
夕日に赤き 雲を見れば
焼け落つる櫓の 火にも似たり
修羅の矢叫び 今は昔
語るは風の音ぞ
三日月細く 空にかかり
武士(もののふ)の墓に 靄(もや)ぞ暗し
思えば幾とせ 雨に風に
古(ふ)りたる戦場(いくさば)哀れ
古戦場の秋 作詞:葛原しげる
夕月一つ 空に掛かる
戦場(いくさば)の後に 風ぞ騒ぐ
千草戦(おのの)きて 泣くに似たり
虫もこそ啼けや 虫ぞ
誰が子ぞ一人 空を仰ぎ
戦場の跡の 風に吹かれ
涙涸れ果てて、心泣くは
雨もこそ降れや 雨ぞ

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