作詞(訳詞):小林愛雄(こばやし・よしお)
作曲:フランツ・フォン・スッペ(Franz von Suppè)
原曲:喜歌劇『ボッカチオ』より「Hab ich nur deine Liebe」
日本での初演・流行:1914~1915年(大正3~4年)ごろ
「恋はやさし 野辺の花よ」は、オーストリアの作曲家フランツ・フォン・スッペが作曲した喜歌劇『ボッカチオ』の中の歌をもとに、詩人・訳詩家の小林愛雄が日本語の歌詞をつけた歌曲です。小林愛雄は、明治から昭和にかけて活躍した詩人・訳詩家で、日本におけるオペラの普及にも大きく貢献した人物です。
この曲が日本で広く知られるようになったのは、大正時代の初めです。1914年(大正3年)、帝国劇場でスッペの喜歌劇『ボッカチオ』が上演され、その中で小林愛雄の訳詞による「恋はやさし 野辺の花よ」が歌われて人気を集めました。その後、浅草オペラなどでも歌われ、テノール歌手・田谷力三の代表的なレパートリーとしても親しまれました。
歌詞では、恋する心を「野辺の花」にたとえています。夏の日差しのもとでも枯れない花のように、熱い思いを胸に抱き、疑いや不安という「霜」によって恋を枯らせまいとする、ひたむきな愛情が描かれています。
原曲のドイツ語の歌詞と日本語の訳詞では表現に違いがありますが、小林愛雄は原曲の雰囲気を日本人にも親しみやすい、美しく情緒豊かな言葉に置き換えました。そのため、オペラの一場面から生まれた歌でありながら、日本では独立した愛唱歌として長く歌い継がれることになりました。
「恋はやさし 野辺の花よ」は、日本に西洋音楽やオペラが広まり始めた大正時代の文化を象徴する歌曲の一つです。華やかな旋律と、花に託して恋心を歌う美しい歌詞によって、現在でも往年の名曲として親しまれています。
恋はやさし野辺の花よ
恋はやさし 野辺の花よ 作詞:小林 愛雄/作曲:ス ッ ペ
1
恋はやさし 野辺の花よ
夏の日のもとに 朽ちぬ花よ
熱い思いを 胸にこめて
疑いの霜を 冬にもおかせぬ
わが心の ただひとりよ
2
胸にまことの 露がなけりゃ
恋はすぐしぼむ 花のさだめ
熱い思いを 胸にこめて
疑いの霜を 冬にもおかせぬ
わが心の ただひとりよ

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