作詞:青木存義(あおき ながよし)
作曲:不詳(文部省唱歌)
発表年:1911年(明治44年)5月
「菊の花」は、1911年(明治44年)5月に発行された『尋常小学唱歌 第一学年用』に掲載された文部省唱歌です。作詞は、童謡「どんぐりころころ」で知られる青木存義、作曲者は不詳とされています。
歌では、垣根に咲いた小菊を見つめる子どもの姿が描かれています。黄色い菊を「兵隊遊びの勲章」に、真っ白な菊を「ままごと遊びのご馳走」にするという内容で、子どもの遊びを題材にした親しみやすい歌になっています。
一方で、「兵隊遊びの勲章」という表現には、明治末期の社会や教育の時代背景が反映されています。現在の感覚で読むと、単なる子どもの遊びの描写だけではなく、当時の教育や社会における軍事的な価値観も感じ取ることができます。
また、この「菊の花」は、後年の小林愛雄作詞・井上武士作曲の同名曲とは別の作品です。青木存義の「菊の花」は『尋常小学唱歌』に掲載されましたが、1941年(昭和16年)からは小林愛雄作詞の「菊の花」が教科書に掲載されるようになり、次第に歌われなくなりました。
短い歌の中に、秋の菊の美しさと子どもの遊び、そして明治末期の時代背景が凝縮された唱歌です。
1番の歌詞で菊の花を「兵隊遊びの勲章」にというところは当時の世相が表われています、小学1年生からこういう歌を歌って(歌わされて)いたんですね。作詞も戦争を意識した歌詞にならざるを得ない状況でした。作詞の青木存義は「どんぐりころころ」の作詞者でもあります。
菊の花
菊の花 作詞:青木 存義/文部省唱歌
1
見事に咲いた かきねの小菊
ひとつ取りたい 黄色な花を
兵隊遊びの 勳章に
2
見事に咲いた 垣根の小菊
ひとつ取りたい 真っ白な花を
ままごと遊びの ごちそうに
1941年(昭和十六年)発行の国民学校初等科第二学年用「うたのほん 下」に掲載された同名の「菊の花」という歌もあります。作詞は小林愛雄、作曲は井上武士によるものですが、作曲者は著作権保護期間中なのでここでは演奏をお聞きいただけません。
参考までに歌詞を掲載しておきます。
菊の花 作詞:小林 愛雄 作曲:井上 武士
1
きれいな花よ 菊の花
白や黄色の 菊の花
2
けだかい花よ 菊の花
あおぐごもんの 菊の花
3
日本の秋を かざる花
きよいかおりの 菊の花
2番の歌詞「あおぐごもんの菊の花」とは皇室の紋章のことで、現在ではこの2番は歌われないことが多いです。

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