からたちの花

童謡・唱歌

t f B! P L

作詞:北原白秋
作曲:山田耕筰
発表:1924年(大正13年)

「からたちの花」は、詩人・北原白秋と作曲家・山田耕筰によって生み出された、日本を代表する童謡・歌曲の一つです。1924年(大正13年)、児童雑誌『赤い鳥』に発表されました。

歌詞には、春に白い花を咲かせるからたちと、青く鋭い棘、そして秋に実る黄色い実が描かれています。一見すると美しい植物の情景を歌った作品ですが、その背景には山田耕筰の少年時代の思い出があります。

山田耕筰は幼いころ、東京の自営館(苦学生や身寄りのない子供たちのための寄宿舎・自立支援施設)で生活していました。厳しい生活の中で、からたちの垣根は少年時代の記憶と深く結びついていました。北原白秋は山田からそのころの話を聞き、からたちの白い花や青い棘を題材として詩にしました。山田自身も、からたちを「自営館生活における私のノスタルジア」と述べ、この思い出が白秋によって詩になったものだとしています。

そのため「からたちの花」は、単なる植物の歌ではなく、少年時代の寂しさや苦しみ、そして遠い日の記憶を、からたちの姿に重ねて表現した作品といえます。

山田耕筰の旋律も、白秋の言葉を生かすことを大切にして作られています。歌詞の一語一語に寄り添うような旋律は、まるで昔の記憶を静かに語りかけるようで、素朴でありながら深い情感を感じさせます。

「白い白い花」「青い青い針のとげ」といった繰り返しの言葉からは、からたちの姿が鮮やかに浮かび上がります。そして最後には、花や棘、実という自然の姿を通して、少年時代の心の風景が静かに蘇ってきます。

北原白秋の詩情と山田耕筰の音楽が見事に結びついた「からたちの花」は、日本の童謡・歌曲史に残る名作です。

からたちの花          


うた
                   

演奏

からたちの花   作詞:北原 白秋/作曲:山田 耕筰

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

からたちのとげはいたいよ
青い青い針のとげだよ

からたちは畑(はた)の垣根よ
いつもいつもとおる道だよ

からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ

からたちのそばで泣いたよ
みんなみんなやさしかったよ

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

QooQ