菅 公(文部省唱歌)

童謡・唱歌

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作詞:不詳
作曲:文部省唱歌(作者不詳)
発表年:1913年(大正2年)

「菅公(かんこう)」は、平安時代の学者・政治家で、後に学問の神様として信仰されるようになった菅原道真を題材にした文部省唱歌です。1913年(大正2年)刊行の『尋常小学唱歌 第五学年用』に掲載されました。資料によっては作曲者を岡野貞一とする記載もありますが、楽曲資料や全音楽譜出版社などでは、作詞・作曲ともに「文部省唱歌」とされています。

歌詞は、道真が藤原時平の讒言によって大宰府へ左遷された出来事を中心に描いています。「むら雲」「ぬれぎぬ」といった表現によって、身に覚えのない罪を着せられながらも、自らの真心を信じて配所へ向かう道真の姿が歌われています。

二番では、道真が京都を離れる際に別れを惜しんだ梅の木や、宮中での春秋の行事が対照的に描かれています。春になって梅が咲いても道真は都へ戻ることができず、ついには大宰府で生涯を終えたことが「君あわれ」という哀切な言葉で結ばれます。

この歌は、単に菅原道真の生涯を紹介するだけでなく、逆境の中でも真心を失わない人物の姿を描いた歴史唱歌といえます。明治・大正期の唱歌には歴史上の人物を題材にした作品が多く、「菅公」もその一つとして、児童に歴史上の人物への理解や敬意を伝える役割を担っていました。

なお、「菅公」には別の作品もあり、たとえば大和田建樹作詞・多梅稚作曲による「学者の家に、身は出でて……」という同名曲も存在します。そのため、資料を扱う際には歌い出しを確認することが大切です。

 菅 公


 

菅 公  文部省唱歌

1 
日かげさえぎる むら雲に
干すよしもなき 濡れ衣を
身には著つれど 真心の
あらわれずして 止まめやと
神のまもりを 憑みつつ
配所に行きし 君あわれ

2 
のちを契りし 梅が枝に
東風吹く春は かえれども
菊の節会の 後朝の
宴に侍りし 秋は来ず
御衣を日ごとに 拝しつつ
配所に果てし 君あわれ

1、2番の最後に出てくる「配所」とは、流罪によって流された場所のことです。

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