1912年(大正元年)発行の「尋常小学唱歌(第四学年用)」に掲載されました。
蚕 (かいこ)
蚕(かいこ) 文部省唱歌
1
風暖き 五月のはじめ
里の少女が 取るや羽箒
掃きおろしたる 春のかいこ
さながら黒き 塵の如く
2
四度の眠 いつしか過ぎて
箸の太さは 小指となりぬ
きそいきそいて 桑はむ音
木の葉に雨の そそぐ如く
3
髪も結ばず 夜さへ寝ねず
心つくして 一月あまり
努めしかいの 見えたる今日
うれしや繭は 山の如く
羽箒 ⇒ カモなどの鳥の羽を束ねて柄の先に取り付けた箒のことで、養蚕では種紙に付いてい る孵化したばかりの蚕を傷つけないように集める時に使う。
四度の眠り ⇒ 蚕は繭を作るまでに四回脱皮をするので、それを表している。
3番にあるように髪を結ぶどころか、夜も寝ないで一ヶ月もの間付きっきりで世話をしなくてはならない、と歌われるほど大変な作業だったようです。
数年前に世界遺産の富岡製糸場に行く機会がありました。その蚕の繭から絹糸を作る工場だった所ですね、よくぞあれだけの施設と機械が保存されていたものだと驚きました。
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