田舎の四季

童謡・唱歌

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1910年(明治43年)7月「尋常小学読本唱歌」に掲載されました。

作詞の「堀沢 周安」(1869年~1941年)について

作詞家であり、また教育者でもありました。国文学を学び、長野県、香川県、愛媛県で教員を務めながら、校歌や市町村歌を多数を作詞しています。

田舎の四季


田舎の四季    
作詞:堀沢 周安/作曲:不詳

1   
道をはさんで 畠一面に
麦は穗が出る 菜は花盛り
眠る蝶々 とび立つひばり
吹くや春風 たもとも軽く
あちらこちらに 桑つむ少女
日まし日ましに 春蚕も太る

2   
ならぶ菅笠 涼しいこえで
歌いながらに 植え行く早苗
ながい夏の日 いつしか暮れて
植える手先に 月かげ動く
かえる道々 あと見かえれば
葉末葉末に 夜つゆが光る

3   
二百十日も 事なくすんで
村の祭の 太鼓がひびく
稲は実がいる 日和はつづく
刈ってひろげて 日に乾かして
米にこなして 俵につめて
家内そろって 笑顔に笑顔

4   
松を火にたく いろりの側で
夜はよもやま 話がはずむ
母がてぎわの 大根なます
これが田舎の 年こしざかな
棚の餅ひく ねずみの音も
更けて軒端に 雪降り積る

昭和7年の新訂版で、以下の二箇所が変更されています。
3番・ 米にこなして ⇒ もみに仕上げて
4番・ 松を火にたく ⇒ そだを火にたく

歌詞の意味

1番 畠(はた)  ⇒ 畠(はた・はたけ)=畑
1番 春蚕(はるご)⇒ 春から初夏にかけて飼うカイコ
2番 早苗(さなえ)⇒ 苗代から田へ植えかえるころの稲の苗
3番 実がいる   ⇒ 実が入る=実がはいる・実が熟れる
3番 こなして   ⇒ 熟して=やり遂げる・完成させる
4番 大根なます  ⇒ 大根膾=大根・人参を細く切って酢で和えた食べ物
4番 棚の餅ひくねずみの音 ⇒ 棚にある餅を、ねずみが食べようと動かす音

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