作詞:文部省唱歌(作者不詳)
作曲:文部省唱歌(作者不詳)
発表年:1912年(明治45年・大正元年)
「八幡太郎」は、源義家(みなもとのよしいえ)、通称「八幡太郎」を題材にした文部省唱歌です。1912年(明治45年・大正元年)に発行された『尋常小学唱歌 第四学年用』に収録されました。
歌詞は、源義家が奥州へ向かう途中、勿来(なこそ)の関で散る山桜を眺め、「吹く風を勿来の関と思へども 道もせに散る山桜かな」と詠んだ和歌を取り上げています。さらに、敵将・安倍貞任との間に交わされた歌を題材にし、戦場における義家の武勇だけでなく、敵を思いやる「やさしさ」を描いている点が特徴です。
題名の「八幡太郎」は、源義家の通称です。義家は後三年の役などで活躍した武将として知られ、後世には武勇の誉れ高い人物として語り継がれました。この唱歌では、単なる勇ましい武将としてではなく、敵の事情をくみ取り、許す心を持った人物として描かれています。
なお、「八幡太郎」を含む『尋常小学唱歌』の多くは、個人の作詞者・作曲者名を記載せず「文部省唱歌」とされていました。そのため、現在も作詞・作曲者を特定することはできません。
「駒のひづめも匂ふまで」という印象的な冒頭から、山桜の美しい情景、武将同士の歌のやり取り、そして敵を許す心へと展開する「八幡太郎」は、武勇と人情をあわせて描いた歴史唱歌の一曲です。
八幡太郎(文部省唱歌)
八幡太郎 文部省唱歌
1
駒のひづめも匂ふまで
道もせに散る山櫻かな
しばしながめて
吹く風を勿來(なこそ)の関と思へども
かひなき名やとほほ笑みて
ゆるく打たせしやさしさよ
2
落ちゆく敵をよびとめて
衣のたては綻(ほころ)びにけり
敵は見かへり
年を經(へ)し絲(いと)のみだれの苦しさに
つけたることのめでたきに
めでてゆるししやさしさよ
道もせ(道も狭) ⇒ 道もせまく感じられるほどの様子。道いっぱい。

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