「どこかで春が」は、百田宗治作詞、草川信作曲による、早春の自然を歌った美しい童謡です。1923年(大正12年)に『小学男生』3月号に掲載されました。
この歌の魅力は、まだ冬の寒さが残る季節の中に、少しずつ春が生まれてくる様子を描いているところにあります。「どこかで春が生まれてる」という言葉を繰り返しながら、雪や氷がとけて水が流れ、雲雀が鳴き、草木の芽が動き始める――そんな春の兆しを感じ取っています。
特に印象的なのが、歌の中に登場する「東風(こち)」です。東風は春に吹く東寄りの風を指す言葉で、古くから春の訪れを告げる風として親しまれてきました。「山の三月、東風吹いて」という一節には、まだ本格的な春にはなっていないものの、確実に季節が春へ向かっている情景が感じられます。
作詞者の百田宗治は、児童詩の分野でも活躍した詩人です。作曲者の草川信は、「夕焼小焼」「ゆりかごの歌」など、現在も歌い継がれている童謡を数多く残しました。「どこかで春が」でも、百田宗治の簡潔で情景豊かな詩に、草川信が親しみやすい旋律を与えています。
2007年には、文化庁と日本PTA全国協議会による「日本の歌百選」にも選ばれました。
「どこかで春が」は、春そのものを大きく描くのではなく、まだ目には見えない春の気配を感じ取る歌です。水の流れる音、雲雀の声、芽吹きの気配、そして春風――。静かな自然の変化に耳を澄ませることで、季節の移ろいを感じることができる、素朴で味わい深い名曲です。
どこかで春が
うた
演奏
どこかで春が 作詞: 百田 宗治/作曲: 草川 信
1
どこかで春が 生れてる
どこかで水が ながれ出す
2
どこかで雲雀が 啼いている
どこかで芽の出る 音がする
3
山の三月 東風吹いて
どこかで春が 生れてる

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