青葉茂れる桜井の(桜井の訣別)

童謡・唱歌

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この歌は太平記の一場面である、楠木正成と息子の正行の別れの場面「桜井の訣別」を題材にしています。楠木正成は後醍醐天皇の命により、足利尊氏の軍勢を迎え撃つために死を覚悟して、湊川の戦場に赴くことになった。

その途中、桜井駅で正成は11歳の息子・正行を呼び寄せて「お前を故郷の河内へ帰す」と告げた。「最期まで父上と共に」と懇願する正行を諭し、かつて帝より賜った菊水の紋が入った短刀を形見に授け、今生の別れを告げるのだった。

青葉茂れる桜井の(桜井の訣別)


 歌詞は全部で15章までありますが、ここに掲載したのは、「桜井の訣別」という小見出しの付いた最初の6章です。

青葉茂れる桜井の 作詞:落合直文/作曲:奥山朝恭

1 
青葉茂れる桜井の
里のわたりの夕まぐれ
木の下蔭に駒とめて
世の行く末をつくづくと
忍ぶ鎧の袖の上に
散るは涙かはた露か

2 
正成涙を打ち払い
我子正行呼び寄せて
父は兵庫へ赴かん
彼方の浦にて討死せん
いましはここまで来れども
とくとく帰れ故郷へ

3  
父上いかにのたもうも
見捨てまつりてわれ一人
いかで帰らん帰られん
この正行は年こそは
いまだ若けれ諸共に
御供仕えん死出の旅

4  
いましをここより帰さんは
わが私の為ならず
己れ討死なさんには
世は尊氏のままならん
早く生い立ち大君に
仕えまつれよ国のため

5  
この一刀はいにし年
君の賜いし物なるぞ
この世の別れの形見にと
汝にこれを贈りてん
行けよ正行故郷へ
老いたる母の待ちまさん

6  
共に見送り見反りて
 別れを惜しむ折からに
またも降り来る五月雨の
空に聞こゆる時鳥
誰れか哀れと聞かざらん
あわれ血に泣くその声を

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