作詞:野口雨情(1882~1945)
作曲:本居長世(1885~1945)
発表年:1921年(大正10年)
「哀別(あいべつ)」は、詩人・野口雨情の詞に、作曲家・本居長世が曲をつけた歌曲で、1921年(大正10年)に発表されました。野口雨情と本居長世は、「青い眼の人形」「七つの子」などでも知られる組み合わせで、日本の童謡・歌曲の発展に大きな足跡を残しています。
歌詞では、海と山を隔てた土地を背景に、旅立つ人と残される人との別れが描かれています。「中仙道は山の國」「常陸鹿島は海の國」と、具体的な地名を取り入れることで、遠く離れていく二人の距離が印象的に表現されています。
終盤では、山の向こうで鳴く烏に語りかけながら、別れを惜しむ人々が一夜をともに過ごします。悲しみに沈みながらも、最後の時間を静かに分かち合う情景には、雨情独特の哀愁と素朴な情感が感じられます。
本居長世の旋律も、この詩情に寄り添うように、華やかさよりも落ち着いた情感を重視しています。童謡作曲家として知られる本居長世ですが、「哀別」では大人の別離を題材とした歌曲として、深い哀しみと郷愁を表現しています。
哀 別
哀 別 作詞:野口雨情/作曲:本居長世
海は見たれど 海照らず
山は見たれど 山照らず
時雨の雲の 雨の戸に
わがためぬれた 人もあり
中仙道は 山の国
常陸鹿島は 海の国
これがたまたま 五十里の
山を越えたる 別れかよ
山を越えたる 別れかよ
ああ別れかよ ああ別れかよ
烏しば啼く しばらくは
山のあなたで 啼けばよい
今宵一夜を 哀別の
涙で共に 語ろうよ

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