作詞:不詳
作曲:不詳
発表年:1932年(昭和7年)
「日本三景」は、文部省唱歌として『新訂尋常小学唱歌 第六学年用』に収録された唱歌です。同教科書は1932年(昭和7年)12月に刊行され、「日本三景」は第六学年用の新しい教材として掲載されました。
歌詞は「緑したたる山を後ろに」で始まり、広島の宮島、京都の天橋立、宮城の松島という日本を代表する三つの景勝地を順に歌っています。宮島では朱色の廻廊や夜の灯籠、天橋立では松原と朝の景色、松島では海に浮かぶ島々と雨にけぶる風景が描かれ、それぞれの土地の美しさを情緒豊かに表現しています。
この唱歌では、単に名所を紹介するのではなく、海と松、島々、神社などが織りなす日本の美しい風景を、四季や朝夕の情景を交えながら歌い上げています。修学旅行や遠足などで名勝地を訪れる機会のあった子どもたちに、日本の自然や文化への関心を持たせる教材としてもふさわしい作品でした。
なお、作者については、現在確認できる資料では作詞者・作曲者の個人名は明らかにされておらず、「文部省唱歌」として扱われています。戦前の文部省唱歌には作者名を公表しない作品が多く、「日本三景」もその一つです。
「緑したたる山を後ろに」という印象的な歌い出しから始まる「日本三景」は、宮島・天橋立・松島という三つの名勝を一つの歌にまとめ、日本の風景美を讃えた昭和初期の唱歌として、現在も当時の唱歌文化を伝える作品です。
日本三景
日本三景 文部省唱歌
1
緑したたる 山を後ろに
波にただよう 朱(あけ)の廻廊
たつの宮居の すがたはこれか
みぎわの灯籠 皆火をともして
夜の宮島 さらに美し
2
与謝の浦波 遠く続ける
中をかぎりて 浮かぶ松原
天(あめ)の通路(かよいじ) 絶えしは何時か
かがやく日影に 神の代(よ)おぼえて
朝の橋立 殊(こと)にめでたし
3
松のあらしは ささやきあいて
海にちりぼう 千島・五百島(いおしま)
如何なる神の なしし巧(たくみ)ぞ
くすしきながめ 見る間に変りて
雨の松島 いよよ珍し
みぎわ
海・湖などの水の、陸地と接している所。みずぎわ。なぎさ。

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