「待ちぼうけ」は、作詞・北原白秋、作曲・山田耕筰による日本を代表する童謡の一つです。1923年(大正12年)に作曲され、1924年(大正13年)に「満州唱歌集」の一つとして発表されました。
この歌の題材になっているのは、中国の古典『韓非子』に記された「守株待兎(しゅしゅたいと)」という故事です。畑仕事をしていた農夫が、偶然、兎が切り株にぶつかって死んだことから、仕事をやめて「また兎が来るのを待とう」と考えます。しかし、待てど暮らせど兎は現れず、最後には畑も荒れてしまいます。
北原白秋は、この教訓的な故事を子どもにも分かりやすい、ユーモラスな物語として歌詞にまとめました。「待ちぼうけ、待ちぼうけ」という繰り返しが印象的で、農夫がだんだん仕事をしなくなり、ひたすら兎を待ち続ける様子が楽しく描かれています。
山田耕筰の曲も、どこか滑稽で軽やかな雰囲気を持っており、歌詞の物語をいっそう引き立てています。特に前奏や後奏の特徴的な旋律には、山田耕筰が大連で耳にしたチャルメラの節を取り入れたと伝えられています。
楽しい童謡として親しまれている「待ちぼうけ」ですが、その背景には「偶然の出来事を当てにして、努力を怠ってはいけない」という意味が込められています。ユーモラスな物語と覚えやすい旋律によって、今も多くの人に歌い継がれている名曲です。
待ちぼうけ
待ちぼうけ
作詞:北原白秋/作曲:山田耕筰
1
待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良稼ぎ
そこへ兎が 飛んで出て
ころりころげた 木のねっこ
2
待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめたこれから 寝て待とか
待てば獲物は 駆けて来る
兎ぶつかれ 木のねっこ
3
待ちぼうけ 待ちぼうけ
昨日鍬取り 畑仕事
今日は頬づえ 日向ぼこ
うまい伐り株 木のねっこ
4
待ちぼうけ 待ちぼうけ
今日は今日はで 待ちぼうけ
明日は明日はで 森のそと
兎待ち待ち 木のねっこ
5
待ちぼうけ 待ちぼうけ
もとは涼しい 黍畑(きびばたけ)
いまは荒野の 箒草(ほうきぐさ)
寒い北風 木のねっこ

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