故郷を離るる歌

童謡・唱歌

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発表年:1913年(大正2年)
作詞:吉丸一昌(よしまる かずまさ)
原曲:ドイツ民謡
原曲の作詞・作曲者:不詳

「故郷を離るる歌」は、吉丸一昌がドイツ民謡の旋律に日本語の歌詞を付けた唱歌で、1913年(大正2年)に『新作唱歌 第五集』に掲載されました。

歌詞は、「園の小百合、撫子、垣根の千草」など、故郷に咲く草花や、つくしを摘んだ岡、小鮒を釣った小川、柳の土手など、幼いころから親しんできた懐かしい風景を思い浮かべながら、故郷を離れていく人の寂しさを歌っています。

とりわけ「さらば故郷」という言葉が繰り返されることで、住み慣れた土地との別れを惜しむ気持ちが強く伝わってきます。単なる別離の歌ではなく、故郷への愛情や懐かしさ、そして旅立つ者の胸に残る郷愁(きょうしゅう=故郷を懐かしく思う気持ち)が込められた歌です。

一般的にこの歌の原曲とされる「Der letzte Abend(最後の夜)」の内容は、家庭の事情で好きな女性と結婚できず、別れた最後の夜を嘆き悲しみながらもその女性の幸せを願うという悲しい恋を歌っています。

しかしこの「吉丸 一昌」の歌詞では、同じ別れでも故郷を離れていく気持ちを歌っていて、明日は故郷を去らなければならない、その悲しい思いが切々と伝わってきます。最後の一文を「さらば故郷」から「故郷さらば」に変えてある、これが心憎いところです。

故郷を離るる歌


うた
                      
演奏

日本語の歌詞を書いた吉丸一昌は、『早春賦』などでも知られる作詞家・国文学者です。「故郷を離るる歌」では、原曲の旋律を生かしながら、日本人にも親しみやすい故郷の情景を描き出し、明治から大正へと移り変わる時代の唱歌として、今日まで歌い継がれてきました。 

故郷を離るる歌   
作詞:吉丸 一昌
ドイツ民謡

1   
園の小百合 撫子 垣根の千草
今日は汝をながむる 最終(おわり)の日なり
おも えば涙 膝(ひざ)をひたす さらば故郷
さらば故郷 さらば故郷 故郷さらば

2   
つくし摘みし 岡辺(おかべ)よ 社(やしろ)の森よ
小鮒釣りし小川よ 柳の土手よ
別るる我を 憐れと見よ さらば故郷
さらば故郷 さらば故郷 故郷さらば

3   
此処に立ちてさらばと 別れを告げん
山の蔭の故郷 静かに眠れ
夕日は落ちて たそがれたり さらば故郷
さらば故郷 さらば故郷 故郷さらば

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