汽 車(文部省唱歌)

童謡・唱歌

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「汽車」は、「今は山中、今は浜、今は鉄橋渡るぞと」で始まる、明治時代を代表する文部省唱歌の一つです。1912年(明治45年)に文部省編『尋常小学唱歌(三)』に掲載され、世に広まりました。作曲者は大和田愛羅、作詞者は不詳とされています。

歌詞では、汽車に乗って旅をする人の目に映る風景が、次々と描かれています。山を越え、浜を通り、鉄橋を渡ったかと思うと、汽車はトンネルの暗闇へ入り、やがて広々とした野原へ出ていきます。汽車の速さとともに変化していく景色が、まるで目の前に現れるように表現されています。

二番では、遠くの村の屋根や近くの町の家々、森や林、田や畑などが「後へ後へと飛んで行く」と歌われます。これは、当時まだ新鮮だった鉄道旅行の驚きや楽しさを生き生きと伝える表現です。

三番では、車窓の景色が「廻り燈籠(まわりどうろう)の画の様に」変化していく様子が描かれます。次々と移り変わる景色に見とれているうちに、いつの間にか何十里も進んでいる――という、汽車の旅ならではの感覚が巧みに表現されています。

この歌が生まれた明治時代は、鉄道網が整備され、人々の移動や旅行の形が大きく変化していた時代でした。「汽車」は、そうした近代化の象徴ともいえる鉄道を題材に、子どもたちに新しい時代の風景を伝えた唱歌といえるでしょう。

「汽車」は、汽車そのものを歌うだけでなく、車窓から眺める自然や町並みの変化を描いたところに大きな魅力があります。軽快な旋律とともに、明治の人々が感じた鉄道旅行への期待と驚きを今に伝える、親しみ深い唱歌です。

汽 車(文部省唱歌)


 汽車  作詞:不詳/作曲:大和田 愛羅

1 
今は山中 今は浜
今は鉄橋 渡るぞと
思う間もなく トンネルの
闇を通って 広野原

2 
遠くに見える 村の屋根
近くに見える 町の軒
森や林や 田や畑
後へ後へと 飛んで行く

3 
廻り燈籠の 画の様に
変る景色の おもしろさ
見とれてそれと 知らぬ間に
早くも過ぎる 幾十里

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