「春よ来い」は、相馬御風(そうまぎょふう)作詞、弘田龍太郎(ひろた りゅうたろう)作曲による、日本を代表する童謡の一つです。1923年(大正12年)に発表されました。 初出は児童雑誌『金の鳥』3月号とされています。
「春よ来い、早く来い」という親しみやすい歌い出しで始まるこの歌は、まだ寒さの残る季節に、春の訪れを心待ちにする幼い女の子の姿を描いています。歩き始めた「みいちゃん」が、赤い鼻緒のじょじょを履いて外へ出たいと待っている様子は、子どもの無邪気な期待と愛らしさに満ちています。
2番では、家の前にある桃の木の蕾がふくらみ、「早く咲きたい」と春を待っている様子が描かれます。子どもだけでなく、桃の木まで春を待ち望んでいるように表現されているところに、この歌の温かな詩情があります。
作詞者の相馬御風は、新潟県糸魚川ゆかりの詩人・歌人で、郷土の自然や人々への深い思いを多くの作品に残しました。作曲者の弘田龍太郎は、「叱られて」「浜千鳥」など、現在も歌い継がれている童謡を数多く作曲しています。
「春よ来い」は、単に春の季節を歌っただけではなく、「早く春になって、外で遊びたい」という子どもの素直な願いを描いた歌です。短い歌詞の中に、寒い冬から暖かな春へ移り変わる季節の喜びと、子どもの成長への温かなまなざしが込められています。
発表から100年以上を経た現在も、春を待つ季節になると自然に口ずさみたくなる「春よ来い」。素朴でやさしい旋律と愛らしい歌詞が心に残る、懐かしい日本の童謡です。
「相馬 御風」の生まれ故郷「新潟県糸魚川市」
作詞の「相馬 御風」の生まれ故郷であり、幼少期を過ごした現在の新潟県糸魚川市は、新潟県内の最も西に位置する日本海に面した町。冬の寒さは日本海からの寒風に晒されて大変に厳しい所で、また古くから交通の難所として知られる「親不知・子不知(おやしらず・こしらず)」でも有名なところです。
2016年(平成28年)12月22日には「糸魚川市大規模火災」が発生し、冬の強風にあおられて翌日の夕方まで約30時間続き、全焼120棟にもなりました。
春よ来い
うた
演奏
春よ来い 作詞: 相馬 御風/作曲: 弘田 龍太郎
1
春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている
2
春よ来い 早く来い
おうちのまえの 桃の木の
蕾もみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている
じょじょ ⇒ 草履(ぞうり)をいう幼児語です。
私も高校までは新潟県の海岸部で生まれ育ったので、その厳しさはよくわかります。関東から西の太平洋側の人には想像もできないであろう厳しさです。12月、1月、2月の内で晴れる日はごく僅かで、空は毎日のように重い鉛色です。
外での冬の遊びがあるとは言っても、春を待ちわびる気持ちは格別です。そんな思いを、相馬御風らしい可愛らしい詩で表したものでしょう。

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