「埴生の宿」は、イギリスの作曲家ヘンリー・ローリー・ビショップが作曲した歌曲「Home, Sweet Home」の日本語版として広く親しまれている歌です。日本では明治時代に紹介され、里見義が訳詞を手がけました。「埴生」とは、土壁などの粗末な住まいを意味し、質素な家であっても、そこには家族の温かな暮らしと幸せがあるという思いが歌われています。
「玉の装い」や「黄金の宮殿」のような豪華な住まいよりも、家族とともに過ごす小さな我が家こそが、何ものにも代えがたい大切な場所である――。この歌には、そんな家庭への愛情と安らぎへの憧れが込められています。
穏やかで美しい旋律は、日本人の心にも深く響き、唱歌として長く歌い継がれてきました。また、映画などで取り上げられたこともあり、現在でも「ふるさと」や「家庭のぬくもり」を象徴する歌の一つとして知られています。
素朴な住まいを題材にしながら、物の豊かさではなく、愛する人と暮らすことの幸福を静かに伝えてくれる「埴生の宿」。時代が変わっても色あせない、家庭の温かさを感じさせる名曲です。
埴生の宿
うた
演奏
作詞: 里見 義
作曲: ヘンリー・ローリー・ビショップ
1
埴生の宿も 我が宿
玉の装い 羨まじ
のどかなりや 春の空
花はあるじ 鳥は友
おお 我が宿よ
たのしとも たのもしや
2
書読む窓も 我が窓
瑠璃の床も 羨まじ
清らなりや 秋の夜半
月はあるじ 虫は友
おお 我が窓よ
たのしとも たのもしや
埴生の宿 ⇒ 貧しい小さな家・粗末な家
玉の装い ⇒ 宝石を飾った、という意味
羨まじ ⇒ 羨ましくない
瑠璃 ⇒ インド古代の七宝のひとつで、青または青紫色の宝石のこと
夜半 ⇒ 夜中・夜更け

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