「出船(でふね)」は、「勝田香月」作詞、「杉山長谷夫」作曲による日本歌曲で、1928年(昭和3年)に発表された作品です。
歌は、いよいよ船が港を離れて旅立とうとする夜の情景を描いています。「今宵出船か」という冒頭から、別れを惜しむ人の寂しさが伝わり、暗い海、雪、汽笛、そして遠くで鳴く千鳥など、港の夜を思わせる情景が印象的に描かれています。
特に、出船を知らせる汽笛を耳にしながら、旅立つ人の無事を願い、便りを待つ心情には、別れの悲しさだけでなく、相手を思いやる温かな愛情が込められています。静かな港を舞台に、旅立つ人と見送る人との別離の情をしみじみと歌った作品といえるでしょう。
杉山長谷夫の旋律も、こうした歌詞の情感を生かし、哀愁を帯びながらも美しく流れるように作られています。今日でも日本の愛唱歌・歌曲の一つとして歌い継がれており、藤原義江をはじめ多くの歌手によって親しまれてきました。
出 船
出 船
作詞:勝田 香月/作曲:杉山 長谷夫
1
今宵出船か お名残おしや
暗い波間に 雪が散る
船は見えねど 別れの小唄に
沖じゃ千鳥も 泣くぞいな
2
いま鳴る汽笛は 出船の合図
無事で着いたら 便をくりゃれ
暗いさみしい 灯影のもとで
涙ながらに 読もうもの

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