美しき(スコットランドの釣鐘草)

外国民謡・讃美歌・歌曲

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原曲:スコットランド民謡「The Blue Bells of Scotland」
原曲の作詞者・作曲者:不詳
訳詞:稲垣千頴
日本での発表:1881年(明治14年)
掲載:『小学唱歌集』初編
日本での曲名:「美しき」

「美しき」は、スコットランド民謡「The Blue Bells of Scotland(スコットランドの釣鐘草)」を原曲とする日本の唱歌です。訳詞は明治時代の教育者・歌人である稲垣千頴(いながき・ちかい)が手がけました。原曲の作詞者・作曲者は特定されておらず、スコットランドに伝わる民謡として歌い継がれてきた曲です。

日本では、1881年(明治14年)11月刊行の『小学唱歌集』初編に「美しき」という題名で掲載されました。『小学唱歌集』は、明治政府が近代的な音楽教育を進めるために編纂した唱歌集で、「美しき」もその中に収められた外国曲の一つです。国立国会図書館の資料でも、『小学唱歌集 初編』に「うつくしき」として収録されたことが確認できます。

原曲「The Blue Bells of Scotland」は、戦地へ向かったスコットランドの高地地方の若者を思い、その無事の帰還を願う女性の心情を歌った民謡です。題名に登場する「Blue Bells」は、青い釣鐘型の花を咲かせる植物を指しています。

一方、稲垣千頴の「美しき」では、原曲の恋人を待つ女性という設定から内容が大きく変えられています。「わが子やいずこ」と呼びかけながら、長男、次男、末の子の三人が、それぞれ弓、太刀、矛を携えて戦いに出ていく姿が描かれています。つまり、原曲の恋愛の歌を、子どもを戦地へ送り出す母親の心情を描いた歌へと置き換えたものです。

このように「美しき」は、外国の旋律を日本の唱歌として取り入れながら、日本の時代背景に合わせて歌詞の内容を大きく変えた作品です。美しい旋律とは対照的に、子どもを戦いへ送り出す母親の姿が描かれており、明治期の唱歌が持っていた教育的・社会的な側面を知ることができる一曲でもあります。

美しき(スコットランドの釣鐘草)

美しき         訳詞:稲垣千頴     スコットランド民謡

1     
美しき わが子やいずこ
美しき わが上(かみ)の子は
弓とりて 君のみさきに
勇みたちて 別れ行きにけり

2     
美しき わが子やいずこ
美しき わが中の子は
太刀(たち)はきて 君のみもとに
勇みたちて 別れ行きにけり

3   
美しき わが子やいずこ
美しき わが末の子は
矛(ほこ)とりて 君のみあとに
勇みたちて 別れ行きにけり

「稲垣千頴」の他にも「津川主一」「堀内敬三」「野口耽介」などの訳詞もありますが、著作権保護期間中なので掲載しません。

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