かつては卒業式といえば必ずこの歌でした。先生や友との別れを思い、校歌では泣かなくても、この歌が始まるとすすり泣きが聞こえてきたものです。
「仰げば尊し」は、明治時代から今日まで、卒業式の歌として広く歌い継がれてきた唱歌です。1884年(明治17年)に『小学唱歌集』に掲載され、作詞者・作曲者は長く不明とされてきましたが、現在では、原曲がアメリカの学校歌曲「Song for the Close of School」であることが明らかになっています。
歌詞は、学び舎を巣立つ生徒が、これまで教え導いてくれた教師への感謝を胸に、友との別れを惜しみながら、これから歩む人生への決意を新たにする内容となっています。「仰げば尊し」という冒頭の言葉には、恩師を敬い、その教えを心に刻むという、当時の教育観が表れています。
曲は穏やかで格調高い旋律を持ち、素朴でありながら深い情感をたたえています。特に、別れの寂しさだけではなく、過ぎ去った日々への感謝と、未来へ向かう希望が一つの旋律の中に込められていることが、この歌が長く愛されてきた理由の一つでしょう。
現在では、学校生活の締めくくりを象徴する歌として、世代を超えて親しまれています。懐かしい学び舎、恩師や友との思い出を振り返りながら、新たな門出へと歩み出す人々の心に寄り添う、明治以来の代表的な卒業唱歌です。
仰げば尊し
うた
演奏
仰げば尊し 作詞・作曲:不詳
1
仰げば尊し 我が師の恩
教の庭にも はや幾年
思えばいと疾し この年月
今こそ別れめ いざさらば
2
互に睦みし 日頃の恩
別るる後にも やよ忘るな
身を立て名をあげ やよ励めよ
今こそ別れめ いざさらば
3
朝夕馴にし 学びの窓
蛍の灯火 積む白雪
忘るる間ぞなき ゆく年月
今こそ別れめ いざさらば
いと疾し=早いこと・きわめて早いことを意味します。「思えばいと疾し この年月」の意味は「学校で学んでいた時間の、なんと早く過ぎ去ったことか」と、こんな意味です。

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