作詞:井上 赳(いのうえ たけし)
作曲:弘田 龍太郎(ひろた りゅうたろう)
発表年:1942年(昭和17年)
「秋」は、井上赳が作詞し、弘田龍太郎が作曲した日本の唱歌です。1942年(昭和17年)に文部省発行の『初等科音楽 一』に掲載されました。
歌は「チンチロ まつむし 虫の声」という印象的な言葉から始まります。秋の夜、庭や畑で鳴く松虫の声を聞き、続いて葉や草に宿る露が月の光に照らされる様子が描かれます。そして最後には、囲炉裏の火の中では栗がはぜ、その香りが漂うという、暖かみのある室内の情景へと移ります。
わずか三節の短い歌詞ですが、虫の声、露に映る月、囲炉裏の火と栗の香りという、秋の夜のさまざまな情景が五感を通して表現されています。特に、屋外の静かな秋の夜から、囲炉裏を囲む家庭のぬくもりへと場面が変化するところに、この歌の大きな魅力があります。
作詞者の井上赳は、文部省の教科書編纂に携わった人物で、国語教育にも大きな功績を残しました。一方、作曲者の弘田龍太郎は、「春よ来い」など数多くの童謡・唱歌を手がけた作曲家です。二人によって生まれた「秋」は、華やかさよりも静かな情緒を大切にした作品で、日本の秋の夜を美しく描いた唱歌の一つといえるでしょう。
なお、題名が「秋」であるため、文部省唱歌として広く知られる「虫のこえ」と混同されることがありますが、「チンチロ まつむし 虫の声」で始まるこの曲は、「秋」という別の作品です。「虫のこえ」は文部省唱歌として別に存在します。
秋
秋 作詞:作曲/井上 赳:弘田龍太郎
1
チンチロ まつむし むしのこえ
にわの はたけで なきました
2
ぎんぎら はのつゆ くさのつゆ
月の ひかりが ぬれました
3
とろとろ もえる火 いろりの火
くりが はぜます においます

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