曲名:風鈴
作詞:文部省唱歌(作者不詳)
作曲:文部省唱歌(作曲者不詳)
発表年:1932年(昭和7年)
初出:『新訂尋常小学唱歌』第五学年用
「風鈴」は、昭和初期に文部省が編纂した『新訂尋常小学唱歌』第五学年用に収録された文部省唱歌です。『新訂尋常小学唱歌』第五学年用は1932年(昭和7年)12月10日に刊行され、「風鈴」もその中の一曲として掲載されました。
文部省唱歌では、明治期から作詞者や作曲者の個人名を明記しない方式が多く、「風鈴」についても特定の作詞者・作曲者の名前は残されていません。そのため、作者は一般に「文部省唱歌」あるいは「作詞・作曲者不詳」と扱われています。
題名の「風鈴」が示すように、この歌は夏の風物詩である風鈴を題材とした唱歌です。暑い夏の日、風に揺れて涼やかな音を響かせる風鈴は、日本の暮らしの中で親しまれてきた身近な存在でした。その澄んだ音色には、暑さを和らげる涼感だけでなく、静かな夏の情景や日本的な季節感が感じられます。
「風鈴」は、こうした身近な自然や生活の風景を歌に取り入れ、子どもたちが季節の移ろいや日本の伝統的な生活文化に親しめるように作られた唱歌の一つと考えることができます。昭和初期の音楽教育において、単に歌を覚えるだけでなく、身近な自然や生活を題材として情緒を育てる役割も担っていました。
なお、同じ「風鈴」という題名には、「川路柳虹」作詞・「草川信」作曲の童謡もあり、こちらは別作品です。
風 鈴
風 鈴 文部省唱歌
1
軒の風鈴 夕風に
チリンリン チリンリン
風鈴の音の 涼しさよ
昼の間の ほてり消失せ
夏の日は 今ぞ暮行く
2
軒の風鈴 夕風に
チリンリン チリンリン
打水の跡 心地よや
大空に 月は浮かびて
夏の夜は 今ぞ更行く

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